
本記事では外国株式における業種の分類について解説します。
日本株をはじめ、いろんな投資商品に少額投資しております。
今回はアメリカ株などの外国株式における業種分類基準についてまとめました。
銘柄選びやポートフォリオの管理に役立つ内容だと思います。
ぜひ最後までお読みください。
代表的な業種分類の基準として以下の2つがあります。
代表的な業種分類基準
- GICS
- ICB
両者ともに機関投資家などによって、業種ごとの業績や株価の調査・分析のほか、ポートフォリオの管理などのために広く利用されています。
また、外国株式を投資対象とした投資信託が公表している組み入れ銘柄の業種別比率はGICSかICBが基になっていることがほとんどなので、個人投資家の方もこれらの分類基準に接する機会は少なくないと思います。
では、それぞれ詳しく見ていきましょう。
GICSとは?
GICSとは「Global Industry Classification Standard」の略称で、世界的に利用されている業種分類基準です。
日本語では「世界産業分類基準」と呼ばれます。
1999年にアメリカの格付け会社であるS&Pと株価指数の算出やポートフォリオ分析などを行うMSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)によって共同で開発されました。
GICSの構造
GICSは階層構造になっており、上から順に11のセクター、24の産業グループ、69の産業、158の産業サブグループという四層で構成されています。

(https://www.msci.com/gics)
GICSのセクターと代表銘柄
GICSのセクターと各セクターの代表銘柄は下表の通りです。
銘柄は海外のセクター別ETFの組み入れ銘柄をもとにピックアップしました。
| GICSの11セクターと代表銘柄 | |
|---|---|
| セクター | 代表銘柄 |
| Energy (エネルギー) |
エクソンモービル |
| シェブロン | |
| Materials (素材) |
リンデ |
| BHP | |
| Industrials (資本財) |
ハネウェル・インターナショナル |
| ユニオン・パシフィック | |
| Consumer Discretionary (一般消費財) |
アマゾン・ドット・コム |
| テスラ | |
| Consumer Staples (生活必需品) |
プロクター・アンド・ギャンブル |
| ネスレ | |
| Health Care (ヘルスケア) |
ジョンソン・エンド・ジョンソン |
| ユナイテッドヘルス・グループ | |
| Financials (金融) |
バークシャー・ハサウェイ |
| JPモルガン・チェース | |
| Information Technology (情報技術) |
アップル |
| マイクロソフト | |
| Communication Services (コミュニケーション・ サービス) |
アルファベット |
| フェイスブック | |
| Utilities (公益事業) |
ネクステラ・エナジー |
| エネル | |
| Real Estate (不動産) |
アメリカン・タワー |
| プロロジス | |
さて、ここまではGICSについて説明しました。
次はICBです。
ICBもGICSと同じく世界的に利用されている業種分類基準です。
ICBとは?
ICBとは「Industry Classification Benchmark」の略称で、世界的に利用されている業種分類基準です。
日本語では「業種分類ベンチマーク」と呼ばれます。
イギリスに拠点を置き、株価指数の算出や金融データの提供サービスを行うFTSEとアメリカの経済関連の出版・通信会社であるダウ・ジョーンズによって開発され、2005年に公表されました。
ICBの構造
ICBもGICSと同様に四つの階層構造になっています。
各階層は上から順に11の業種、20のスーパーセクター、45のセクター、173のサブセクターとなっています。
ICBの業種
ICBの業種は以下の通りです。
GICSのセクターと重複が多くなるので代表銘柄の記載は省略します。
ICBの11業種
- Technology
テクノロジー
- Telecommunications
通信
- Health Care
ヘルスケア
- Financials
金融
- Real Estate
不動産
- Consumer Discretionary
一般消費財
- Consumer Staples
生活必需品
- Industrials
資本財
- Basic Materials
素材
- Energy
エネルギー
- Utilities
公共事業
GICSの「セクター」とICBの「業種」の違い
GICSの「セクター」とICBの「業種」はどちらも四つの階層の最上部であることは共通していますが、それぞれの内容には若干の違いがあります。
表にして見比べてみましょう。
比較しやすくするためにICBの業種名の並び方を変えました(GICSのセクターの並び方に合わせました)。
| GICSの11セクターと代表銘柄 | |
|---|---|
| GICS | ICB |
| Energy | Energy |
| Materials | Basic Materials |
| Industrials | Industrials |
| Consumer Discretionary | Consumer Discretionary |
| Consumer Staples | Consumer Staples |
| Health Care | Health Care |
| Financials | Financials |
| Information Technology | Technology |
| Communication Services | Telecommunications |
| Utilities | Utilities |
| Real Estate | Real Estate |
ほとんど同じですが、GICSのCommunication Services(コミュニケーション・サービス)に対してICBはTelecommunications(通信)となっています。
前者の対象となっている業種にはインターネットなどの通信だけでなく、通信を使ったサービス、エンターテイメントなども含まれます。一方、後者の対象は通信そのものに関連する業種(通信設備・機器も含む)です。
以下にそれぞれの対象業種・企業の例をまとめました。
Communication Services
対象業種の例- 通信
- 通信を使ったサービス、エンターテイメントなど
- AT&T
- ベライゾン・コミュニケーションズ
- アルファベット(Google)
- フェイスブック
- ネットフリックス
Telecommunications
対象業種の例- 通信(通信設備・機器も含む)
- AT&T
- ベライゾン・コミュニケーションズ
- T-Mobile US
まとめ
最後に記事の内容をおさらいしましょう。
GICS
・Global Industry Classification Standardの略称で、世界的に利用されている業種分類基準
・日本語では「世界産業分類基準」
・1999年にS&PとMSCIによって共同で開発された
・11のセクター、24の産業グループ、69の産業、158の産業サブグループという四階層で構成されている
ICB
・Industry Classification Benchmarkの略称で、世界的に利用されている業種分類基準
・日本語では「業種分類ベンチマーク」
・FTSEとダウ・ジョーンズによって開発され、2005年に公表された
・11の業種、20のスーパーセクター、45のセクター、173のサブセクターという四階層で構成されている
GICSの「セクター」とICBの「業種」の違い
・GICS ⇒ Communication Services(コミュニケーション・サービス)
・ICB ⇒ Telecommunications(通信)
分散投資においては銘柄だけでなく業種の偏りを防ぐことも重要です。銘柄選びの際にはGICSやICBを意識すると良いでしょう。
それでは最後までお読みいただきありがとうございました。
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